こんにちは!
漫画大好きサラリーマンのヘーボンです!
ダイの大冒険の面白さの一つに、伏線の張り方が秀逸だという点があります。
ゴメちゃんやミストバーンの正体など、あからさまに秘密があることを匂わせるような伏線もありますが、本当に驚くべきなのは、漫画を何度も読み返してようやく気付けるような、上手く隠された伏線です。
今回はそんな初見ではまず気付けない隠れた伏線を紹介していきます。
ダイの大冒険のネタバレを含みますので、ネタバレを気にする方はここでページを閉じるか他の記事へどうぞ!
ダイの大冒険!漫画の初見じゃ気付けない隠れた伏線11選【ネタバレ注意】
ハドラーが精神的に成長する伏線①
最初は残虐な魔王として登場したハドラーですが、ダイたちとの戦いを通して武人として一皮剝け、誇り高い戦士として覚醒します。
それまで散々情けない姿を見せてきたので、そんなハドラーが作中でも屈指の漢気のある戦士に変貌するとは当時は誰も予想出来なかったことでしょう。
しかしダイの大冒険を何度か読み返してみると、実は序盤からハドラーが精神的に成長する伏線が隠されていたことが分かります。
それは魔王時代のハドラーに使えていた地獄の騎士バルトスの存在です。
バルトスはヒュンケルの育ての親であり、魔王軍でありながら正しい心を持つ魔物でした。
バルトスは勇者アバンを認めハドラーの元へと通し、それがハドラーの怒りに触れ処刑されてしまいました。
ただその時にハドラーがバルトスに言ったセリフを聞くと、興味深いことに気が付きます。
バルトスが持っていたという「正義感」「騎士道精神」「情愛」…
これらの言葉はまさに覚醒後のハドラー、もしくはその魂を受け継いだハドラー親衛騎団を彷彿とさせる単語ではありませんか!
元々バルトスはハドラーが禁呪法で作ったモンスターです。
そして後のマトリフのセリフから、禁呪法で作られた魔物は術者の精神を反映した性格になることが分かっています。
つまりバルトスが騎士道精神を持っていたという事は、少なくともバルトスを作った当時のハドラーには騎士道精神があったということになるのです。
作中でハドラーは唐突に騎士道精神に目覚めたようにも見えますが、実はそうではありません。
元々持っていた騎士道精神をバーンの配下になるときに捨ててしまい、後にそれを取り戻したという方が正しいのです。
つまり地獄の騎士バルトスの存在そのものが、ハドラー覚醒の伏線になっていたと言えます。
ハドラーが精神的に成長する伏線②
超魔生物になったハドラーは圧倒的なパワーパップを果たし、以前は敗北したダイを逆に圧倒してみせます。
超魔生物という単語は少し前から登場していたので、ハドラーが超魔生物になること自体は予測できたという人も多いでしょう。しかし実際にはハドラーは肉体だけでなく、むしろ精神的に大きく成長をとげました。
ハドラー自身も「つまらない見栄を捨てた」事が成長に繋がったと語っており、今までのハドラーとは覚悟が違うことが読み取れます。
しかしこのシーンより以前に、とある人物が「見栄を捨てる事が成長に繋がる」と語っていた事に気が付いたでしょうか。
それはロモスの武術大会の後のブロキーナ老師です。
弟子のチウに対して「カッコつけずに自分の限界にぶつかる」重要性を説いたセリフですが、上記のハドラーと全く同じことを言っていることがわかるでしょうか。
実は老師のこのセリフはチウへの説教であると同時に、ハドラーが精神的に成長する事を示唆するセリフでもあったのです。
ポップが逃げた理由をクロコダインが察する事ができた理由
キルバーンの挑発に乗ったポップは、死の大地まで一人で攻め込んでしまい、結果として助けに来たダイがハドラーにやられてしまうという事態を招いてしまいます。
冷静になったポップは「自分までやられてしまったらダイを助けることも出来なくなる」と判断し、一人で逃げ出しますが、そこにクロコダインが駆け付けました。
一見ポップがダイを見捨てたようにも見える状況ですが、クロコダインは瞬時に理由を察し、ポップの逃走に手を貸します。
理由を察する事が出来た理由をクロコダインは「そろそろ付き合いも長いから」と述べますが、これは以前クロコダインがポップを疑ってしまった経験を踏まえてのことです。
龍騎衆との戦いのとき、ポップは1人で闘いに向かう為にワザと逃げ出す振りをしました。その時ポップを疑ってしまったことを、クロコダインは深く悔やんでいたのです。
「ポップは何があってもダイを見捨てない」
そのことを過去の経験から既に学んでいたからこそ、クロコダインは今度こそ迷うことなくポップを信じることができたのでした。
ヒュンケルがバランに使った無刀陣!実は既出の技だった!
死の大地でバランと再会したヒュンケルは、バランがダイのために捨て駒になろうとしていることを察し、引き留めるために無刀陣を仕掛けます。
無刀陣はかつてアバンがハドラーを倒した時に使用したとされる技で、敢えて武器を捨て相手の攻撃を受けることで、スキを見つけ出し攻撃するというカウンター攻撃でした。
無刀陣という技名は183話でようやく登場したものですが、実は技自体はこれより遥か前に登場していたことをご存じでしょうか。
そのシーンはなんと序盤も序盤の12話!
アバンがハドラー相手にメガンテを仕掛ける直前です。
技名こそ言っていませんが、剣を手放す⇒敵の攻撃を受ける⇒メガンテの流れは完全に無刀陣の動きですし、ハドラーが「なぜよけん!?」と言って冷や汗を流しているのも、以前負けたときのことが脳裏によぎったと考えると辻褄が合います。
一見後付け設定のようにも見える無刀陣ですが、実はこんな序盤から伏線が貼られていたのでした。
アルビナスを”人形”呼ばわりするキルバーン
バーンの側近の一人のキルバーンですが、ストーリーの最終盤において驚きの正体が判明します。
実は今までキルバーンと呼ばれていた長身の男はただの人形で、傍らにいたピロロという魔物こそが本当のキルバーンだったのです。
この事実により、今までキルバーンが胸を貫かれても、身体を両断されても死ななかった理由が説明でき、それ自体が伏線だったという見方もできます。
しかしそれ以外にも気付きにくい伏線がありました。
それはハドラーがバーンに反旗を翻したシーンです。
親衛騎団がハドラーに加勢しようとしたところ、アルビナスはキルバーンに、他の親衛騎団はミストバーンが捕えられてしまいます。
しかしそれによってキルバーンやミストバーンも身動きが取れなくなってしまい、そのことをアルビナスに指摘されたキルバーンは「人形の分際でっ…!」と吐き捨てました。
親衛騎団はハドラーによりオリハルコンの駒から作られた存在です。
キルバーンはそのことを揶揄して”人形”と呼んでいるわけですが、ここまでの物語では親衛騎団の一人一人に個性があり、魂があることが強調して描かれていました。
ところがキルバーンは親衛騎団の魂を認めずに、”人形”と呼んで侮辱したのです。
そもそもキルバーンは優秀な相手は敵であっても高く評価するところがあり、ポップのことも高く評価していました。
そんなキルバーンが挑発目的ならまだしもただの侮蔑を口にした…その事実に僕はやや不自然さを感じましたが、キルバーンの正体を知った上で見れば納得できます。
キルバーン自身が魂の無い”人形”を利用していたからこそ、人形に魂があるなどという発想を持つことが出来なかったのです。
そしてアルビナスの言葉を「人形に歯向かわれた」ように感じ、癇に障ったのでしょう。
ロン・ベルクがバーンと決別していた伏線
伝説の名工と呼ばれたロン・ベルクは、魔族でありながらダイに剣を作ってくれた鍛冶職人です。
その才能は大魔王バーンからも見込まれており、233話ではバーンから魔王軍に加わるように勧誘され、それを拒絶していたことが語られています。
バーンとロン・ベルクに何かしら繋がりがあったことは、バーンが光魔の杖を持っていたことからも予測できるかもしれませんが、実はロン・ベルク初登場のシーンから既に伏線が貼られていました。
それは「武器作りは辞めた」というロン・ベルクが、ポップの父ジャンクにだけは武器を作ってやっている理由を語ったシーンです。
大臣に逆らって鍛冶屋を止めたジャンクを「他人とは思えない」と語るロン・ベルク。それはつまりロン・ベルクにも権力者に逆らった経験があるという事を示唆しています。
おそらくロン・ベルクはこのセリフを言った時、魔界の権力者であるバーンに逆らったときの事を思い出していたことでしょう。
ポップの魂の力が”勇気”であることを示す伏線
大破邪呪文を使う為にアバンのしるしを光らせなければいけないという状況で、ポップだけがしるしを光らせるのに必要な魂の力が分からず、中々光らせることができませんでした。
結果としてポップの魂の力は”勇気”であることが判明し、メルルの献身もあってアバンのしるしを光らせることに成功します。
しかし”勇気”は勇者であるダイの魂の力だと誰もが考えていたので、この展開には多くの読者が驚かされました。
とはいえ、言われてみればポップほど”勇気”という言葉が相応しい人物はいないと納得できます。
特に印象的なのが27話「ひとかけらの勇気!」。
クロコダインとの戦いを前に臆病風に吹かれていたポップが、まぞっほから”勇気”とは何かを説かれ、それによって”勇気”を振り絞りダイたちを助けに行くという話です。
タイトルに既に”勇気”という単語が入っていますし、今見るとこれでもかというほど”勇気”という言葉を強調しています。
これほど印象深いシーンがあったにも拘わらず、「勇気は勇者」という先入観に読者はすっかり騙されてしまいました。
伏線の張り方が本当に秀逸ですね。
ポップが「大魔導士」を名乗る伏線
シグマとの戦いでポップは師匠であるマトリフの持つ称号「大魔道士」を名乗ります。
ポップのマトリフに対する敬意を示すセリフであると同時に、「魔法使いの上位職は賢者である」という本家ドラクエファンの固定観念を打ち砕く演出でもありました。
しかし事前にポップがマトリフの後を継ぐ伏線があったことをご存じでしょうか。
それはポップがマトリフからメドローアを教わっていた時の事です。
マトリフの身体を心配したポップはマトリフに引退を進めました。
その際にポップは「あんたのできることは全部オレが覚えてみせる。だからもう無茶する必要はないぜ」と述べているのです。
そしてその後ポップはさらなる成長を遂げ、シグマ戦でとうとう世界で一人しかいない呪文使いの称号「大魔導士」を名乗りました。
つまりポップの「大魔導士」の名乗りには、マトリフに対するリスペクトだけでなく、マトリフと同じことが出来るようになったという自信、そしてこれでマトリフを引退させてあげられるという労わりの心が籠っていたのです。
アバン復活の伏線
キルバーンのトラップ”♢の9”にポップとハドラーが捕らわれた際、絶体絶命の状況から二人を助け出したのは死んだはずのアバンでした。
ファンの中には「アバン生存説」を根強く信じていた人もいたようですが、この絶好のタイミングで復活してくることまで予測できた人は中々いないのではないでしょうか。
しかし実はこのシーンの直前に、アバン復活の伏線とも言えるセリフがありました。
それはマァムから「大破邪呪文で”♢の9”を消せないか」と提案されたレオナのセリフ…
「破邪呪文は同じ人間が2度かけても効果はない」とレオナは言いましたが、逆に言えばレオナ以外に破邪呪文を使える人間が居れば、”♢の9”を消せる可能性があるという意味にも解釈できます。
そしてレオナ以外に破邪呪文を使用できる人間と言えばただ一人、アバンしかいないという訳です。
ジグマがポップにシャハルの鏡を渡していたことを示す伏線
シグマとの戦いに勝利したポップは、シグマから伝説のアイテム”シャハルの鏡”を託されました。
しかしその事実はシグマ戦の時には語られず、大魔王バーン戦になってようやく明らかになります。
一見何の伏線も無く明かされた事実のように見えますが、シグマ戦をよく読み返すとしっかりと伏線が隠れていたことに気が付きます。
上記の画像はシグマが戦いに敗れ死亡するシーンですが、マァムがポップを見ている1コマ目とシグマが爆発する2コマ目の間の空白が不自然に大きいことが分かるでしょうか。
つまりここで時間の経過があったことを示唆しており、この間にシャハルの鏡の受け渡しが行われていたのです。
ダイがゴメちゃんに言った「僕と友達になってよ」
大魔王バーンとの最終決戦の際、今までずっと謎だったゴメちゃんの正体が遂に明らかになりました。
実はゴメちゃんは”神の涙”という使用者の願いを叶えるアイテムで、ダイが初めてゴメちゃんを見つけたときに言った「僕と友達になってよ」という願いを叶えるために今の姿になったのでした。
この「僕と友達になってよ」というセリフですが、実はここ以外でもダイが口にしている場面があります。
それはバランがまだ敵だった頃、ダイを配下に加えようとしたバランがダイの記憶を消してしまったときのことです。
ダイは仲間たちの事も全て忘れてしまいますが、その時にゴメちゃんを見たダイが「僕と友達になってよ」と言ったのです。
当時はゴメちゃんの事すら忘れてしまっている哀しいセリフでしかありませんでした。
しかしダイがゴメちゃんとの初対面の時に言った言葉と同じセリフだと知った上で聞くと印象が変わります。
そう、このセリフはダイが記憶を失っても根本的には変わっていない事を示すセリフだったのです。
まさに読み返して初めて気付ける伏線ですね。
巧妙に貼られたダイの大冒険の伏線たち
以上、初見じゃ気付かない漫画の隠れた伏線11選如何でしたでしょうか。
今回ダイの大冒険の伏線を紹介しましたが、どうやらその全てを最初から決められて作られているわけではないようです。(もちろんそういう伏線もあるでしょうが)
例えば「ポップの魂の力が”勇気”」であることは、原作者の三条先生は「ミナカトールを登場させる直前に決めた」と語っています。
つまり今回紹介した「ひとかけらの勇気!」の伏線は、元々伏線として貼られていたわけではなく、「後から伏線だったという事にしてしまった」と言った方が正確なのかもしれません。
とはいえ漫画を読んでいる時にそういった”後付け感”を感じることは一切なく、むしろ後付け設定を違和感なく物語に溶け込ませてしまう三条先生の巧妙さを際立たせていると言えるでしょう。
今回紹介した伏線、あなたは幾つ気が付いていましたか?
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コメント
ポップの心の力が勇気という伏線は他にもありますよ!
最初のヒュンケル戦で撤退して、夜のダイとポップの話、ポップが『マァムとダイと一緒に戦って少し勇気が湧いた』…だったかな?
逃げ出した振りをしたポップに対して言ったクロコダインのセリフ
『ポップよ…お前の勇気はどこにいってしまったんだ…』
決戦前、逃げたダイに言ったセリフ
『俺は戦う!…今逃げたらなけなしの勇気が無駄になっちまう』…だったかな?
そして、ポップを励ますダイのセリフ!
『そうだよ!俺に最後の勇気をくれたのはポップじゃないか!』
…他にもあるかもしれません!
…勇者(ダイ)に勇気を与えたのが、武器屋の息子…村人(ポップ)というのがエモい!!!です!
大魔道士の伏線、最初ちょっと都合良すぎるかなとも思いましたが、むしろそうあってほしい、と思うように鳴りました
息子はまだわけもわからず観てますがこのまま好きになってダイの大冒険の奥深さを味わって欲しいです
アバン生存の伏線、最初にデルムリン島全体に掛けられたマホカトールがアバンのメガンテ後にも消えなかったのも伏線だったんじゃないかと思ってます。
バーンパレスの結界と同じく本来なら術者が死亡したら掛けた魔法も消えるものなんじゃないか? と。