こんにちは!
ダイの大冒険大好きサラリーマンのヘーボンです!
その不気味な風貌と仮面により、長い間その正体が謎とされていたキルバーン。
ミストバーンと同様に「バーン」の名を冠している事から「おそらく大魔王バーンに関する重大な秘密を握っているキャラクターだろう」と予想されていました。
しかし作中で明かされたその正体は、そんな読者の予想を遥かに超えるものだったのです。
今回はキルバーンの正体と仮面の下の素顔の秘密を、それまでの伏線と共に解説していきます。
ダイの大冒険のネタバレを含みますので、未読の方はここでページを閉じるか他の記事へどうぞ!
キルバーンの正体と仮面の下の素顔を徹底解説【ダイの大冒険】
キルバーンとは
キルバーンは通称”死神”と呼ばれる大魔王バーンの側近で、その役割は失態を犯した軍団長を始末する処刑人。
「キルバーンが目の前に現れるという事はその者の死を意味する」と言われており、同じ魔王軍のメンバーからも恐れられる存在です。
不気味な黒装束を纏い、”死神の笛”という名前の鎌を持つ姿はまさに死神そのもの。
笑顔の仮面に隠された素顔や、彼の使い魔であるピロロの存在、そして名前に入った「バーン」の文字…。
正体不明を絵に描いたようなキルバーンについて、当時多くのファンがその正体を探るべく激論を交わしました。
キルバーンの正体と素顔
本当のキルバーン
キルバーンの正体は最後も最後、大魔王バーンを倒した後の最終話で明かされます。
実は今までキルバーンと呼ばれていた黒装束の男はただの人形で、使い魔だと思われていたピロロこそが本当のキルバーンだったのです。
危険な仕事は人形にやらせて、自分は安全なところで眺めている…卑劣なキルバーンらしい手法といえますね。
ちなみに新アニメでは、キルバーンもピロロも同じ声優(吉野裕行さん)が務めています。
まさに作中のキルバーンがそうだったように、同じ人物が声色を変えて演じている訳です。
真の目的
てっきり大魔王バーンの腹心であると思われていたキルバーンですが、その正体はむしろ逆。冥竜王ウェルザーがバーンを暗殺するために送り込んだ刺客でした。
バーンもキルバーンの狙いを見抜いており、「物騒な死神を買っておくのも一興」と敢えて傍においていたのです。
「KILL VERARN(バーンを殺せ)」という、この上なく分かりやすい名前を名乗っているにも拘わらず、バーンの側近という先入観のせいで、殆どの読者がその正体に気付けませんでした。
仮面の下の素顔
キルバーンが操っていた黒装束の人形…その仮面の下にはなんと、地上を平らに出来る威力を持った爆弾”黒の核晶”が隠されていました。
バーンの暗殺が目的であったキルバーンは、密かにこの黒の核晶を使ってバーンを倒す隙を伺っていたのです。
結局隙を見つけられなかったのかバーンに対して使うことはありませんでしたが、人形の体内を流れる魔界のマグマ成液のせいで、一度起動すればヒャド系呪文でも止められません。
バーンやミストバーンはキルバーンの正体を知っていたのか?
バーンやミストバーンは、キルバーンがウェルザーの手下である事は知っていました。
ではその正体がピロロである事は知っていたのでしょうか?
おそらくミストバーンは知らなかったのでしょう。
もし知っていたのなら、アバンから「キルバーン(人形)は倒したがピロロは見逃した」と聞いた時に何らかの反応を示してもいい筈です。
しかし実際にはそんな素振りは見せず、「キルバーンが死んだ」ものとして受け止めているようでした。
続いてバーンが知っていたかどうかですが、これはどちらとも解釈できます。
最終決戦時にバーンがウェルザーに対して、ピロロが生き残っているにも拘らず「キルは死んだ」と伝えていたことから、バーンもキルバーンの正体を知らなかったように思えます。
しかし、実はバーンはキルバーンの正体を知っているかのような言動をしたこともあるのです。
それはバーンが初めてハドラーに顔を見せたときの事、バーンはキルバーンとミストバーンに対して「おまえたち二人にしか見せたことのない余の素顔」と言いました。
キルバーンとピロロを別人として認識しているのなら、ここは「三人」と言うのが正しいでしょう。
そこを敢えて「二人」と言ったという事は、キルバーンの正体を知った上で話ていると解釈できるのです。
とはいえ、キルバーンの正体を知っているとすると、今度はウェルザーへの言葉が矛盾してしまいます。
辻褄の合うように考えるなら、ピロロの事は「取るに足りない存在」と認識していたため人数に含めなかっただけで、やはりバーンはキルバーンの正体を知らなかった…という事なのかもしれません。
キルバーンの正体に関する伏線
前の項目でキルバーンの正体について解説しましたが、作中ではその正体を示す伏線が所々に散りばめられていました。
次はキルバーンの正体を知った上で、それらの伏線を見返してみましょう。
重傷を負っても死なないキルバーン
キルバーン(人形)は、作中で何度か致命傷になる筈の傷を負っています。
しかしどれだけの重傷を受けても次の瞬間にはケロリと立ち上がり、読者はその不気味な不死身振りを何度も見せつけられました。
ただ正体がわかってしまえばそれも納得です。
そもそもが人形だった訳ですから、いくら切り刻まれても本体のピロロは痛くも痒くも無いというわけだったのです。
血液は地獄のマグマと同じ成分
上述した通り、キルバーンはバランに胴切りされても死にませんでした。
それどころかキルバーンの血液は魔界のマグマと同じ成分であるらしく、キルバーンの身体を両断した真魔剛竜剣の方が腐食してしまいます。
しかし考えてみればそんな高温の血液が流れる生物なんている筈がありませんし、そもそも魔族であるならば青色の血液が流れている筈です。
これはキルバーンが人間でも魔族でもなく、それどころか生物ですらない事を示す伏線だったと考える事が出来ます。
ハドラーに黒の核晶が仕掛けられている事を知っていた
バーンは自分の配下であるハドラーに黒の核晶を仕掛けていましたが、キルバーンはそのことを知ってる様子でした。
しかし考えてみれば、バーンが本当の側近であるミストバーンにすら教えていなかった秘密をキルバーンにだけ教えていたというのは不自然です。
キルバーンはなぜハドラーの体内の黒の核晶を知っていたのでしょうか。
その理由は作中では明言されてはいませんが、キルバーン自身が黒の核晶を隠し持っていたという事実を踏まえてみると理由が見えてきます。
おそらく日常的に黒の核晶を扱っているキルバーンは、黒の核晶の気配だか魔力だかを察知する事が出来るのでしょう。
だからこそ、ミストバーンすら気が付かなかったハドラーの黒の核晶に気付けたのです。
アルビナスを人形呼ばわりするキルバーン
ハドラーがバーンに反旗を翻したシーンで、キルバーンはアルビナスを人質に取りますが、逆にアルビナスから「あなたも動いたら黒焦げになる」と脅されてしまいます。
その際にキルバーンがアルビナスに対して「人形の分際で…」と吐き捨てたのです。
アルビナスがチェスの駒から生み出された金属生命体である事を揶揄して言ったセリフですが、実はこのセリフ、キルバーンらしくないセリフと言えます。
ここまでアルビナスを始めとする親衛騎団は、一人一人に個性があり、高潔な魂を持った戦士として描かれていました。
キルバーンはその魂を認めずに”人形”と呼んでいるのです。
キルバーンはポップを高く評価していた事からも分かるように、優秀な相手は誰であっても高く評価する分析力を持っています。
相手を挑発したり揶揄ったりすることはあっても、今回のように”ただの侮辱”を口にすることは実は珍しいのです。
しかしそれもキルバーンの正体を知った上で見ると納得できます。
キルバーン自身が日頃から”魂の無い人形”を利用しているからこそ、アルビナスたち金属生命体に魂があるなどという発想を持つことが出来なかったのです。
だからこそ、アルビナスの言葉を「人形に歯向かわれた」と感じ、癇に障ったという事でしょう。
仮面を切られて激怒するキルバーン
アバンが奇跡の復活を遂げた際、キルバーンはアバンを暗殺しようとしますが、逆にアバンによって”笑顔の仮面”を切り落とされてしまいます。
それによってキルバーンは激怒し、以降アバンを執拗に狙うようになるのですが、それまで飄々とした態度を崩さなかったキルバーンが異様なほどに態度を激変させました。
キルバーン自身はその理由を「お気に入りの仮面だった」としか語っていませんが、仮面の下に隠してあるものを知った上で見ると、キルバーンの怒りの理由が分かります。
そう、もしアバンがもう少し深く切り込んでいたら、仮面の下の黒の核晶が爆発していたかもしれないのです。
そうなれば近くに居たピロロも間違いなく巻き添えになっていた事でしょう。
今まで危険な役割は全て人形にやらせていたピロロが、この時だけは生命の危険に晒されたのです。
そう考えるとキルバーンの異様な怒りも納得がいきます。
キルバーンがアバンを異空間に引きずり込んだ理由
キルバーンはアバンを「正々堂々の決闘をするため」と言って異空間に引き込みます。
実際には正々堂々というのは嘘で、しっかりと罠を仕組んでいたわけですが、よく見るとこの異空間にはピロロは付いてきていません。
前の項目で説明したとおり、ピロロはアバンに仮面を切り裂かれた事で生命の危機に晒されました。
おそらくキルバーンは、同じことが起こることを恐れたのでしょう。
戦いの場を異空間に選んだのは、万が一黒の核晶が爆発しても、本体であるピロロが巻き添えを食わないようにするためでもあったのです。
必死に命乞いをするピロロ
アバンに敗れたキルバーンの身体は、体内に流れるマグマの血液に火が付いたことで燃え上がります。
するとどこからともなくピロロが現れ、アバンに対して必死にキルバーンの命乞いを始めました。
キルバーンの正体を知った上で見ると、ピロロが必死に”人形”の命乞いをしている事に違和感を抱いた読者も居るかもしれません。
しかしここでピロロが本当に恐れているのは、仮面の下の黒の核晶に引火する事です。
せっかく黒の核晶が爆発しても良い様に異世界で戦わせていたのに、元の世界に戻った上で爆発したらやはりピロロは巻き添えになってしまいます。
つまりこの時のピロロの命乞いはあながち演技という訳ではなく、自分のための命乞いだったという訳です。
巧妙に隠されたキルバーンの正体
振り返ってみると、キルバーンの正体は実に巧妙に隠されていたと感じます。
特に実はバーンの側近ではなく、ウェルザーの刺客だったという事実は作中で語られるまでほとんどの人が気が付けなかったのではないでしょうか。
ミストバーンという、どう見てもバーンの秘密に深く拘わっているキャラクターが居る中で、同じく”バーン”の名前を冠する謎めいた男が登場したら、どうしたって「同じくバーンの秘密に深く拘わる存在」だと考えてしまいます。
しかし実際の立場は逆、バーンの秘密を握るどころか、むしろバーンの命を狙っていたというのですから驚きです。
しかもヒントが無かったわけではなく、それどころか名前がキルバーン(バーンを殺せ)というこの上なく分かりやすいヒントが出ていたにも拘わらず、気付けなかったという事実に当時かなり悔しい思いをしたことを覚えています。
原作者の三条先生は読者の心理誘導が非常に上手いですね。
もし「自分は事前にキルバーンの本当の立場に気が付いていた」という方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントやTwitterでいつどうやって気が付いたのか教えてください。
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コメント
自分は冥竜王ヴェルザーの縁者の可能性は高いと思っていましたよ。「バーンの配下ではない」ということは本編の中で たびたび語られていて、バーン以外で主人公の敵になりうる大物はヴェルザーしかいませんでしたから。
ダイの大冒険の作劇から考えると「今までに何の伏線も語られていない別の敵の配下の可能性は無いな」と思っていました。
バーンを殺すという目的や、ピロロが真の正体というところまでは考えませんでしたけどね。
※と言うか、そこまで深く分析する意味はあまりないと思って読んでたので。ヴェルザーの配下というのは分析した結果ではなく「その可能性が高いな」と漠然と思っていただけですので。
おお!カンが冴えてますね!
バーンがミストバーンに「お前とキルバーンは役割が違う」みたいなこと言ってましたし、
その辺りで気が付いたってことですかね。
まあどんでん返しとしては面白いのですが、ピロロ自身は弱すぎて、何でヴェルザーはこんなのを刺客に選んだのだ?とは思ってしまいますよね。
>それはバーンが初めてハドラーに顔を見せたときの事、バーンはキルバーンとミストバーンに対して「おまえたち二人にしか見せたことのない余の素顔」と言いました。
>
>キルバーンとピロロを別人として認識しているのなら、ここは「三人」と言うのが正しいでしょう。
>
>そこを敢えて「二人」と言ったという事は、キルバーンの正体を知った上で話ていると解釈できるのです。
その点に関しては残念ながら作者のミス(後付け設定との整合性破綻)というメタ的な理由でしょうね。
何故なら、大魔王バーン(老人体)は、かつて、ロン・ベルクとも対面しているからです。
しかも、その場には大魔王バーンへの給仕やロン・ベルクの接待に従事する魔族の女達も居合わせていました。
(原作233話「ロン・ベルクの秘密」より)