こんにちは!
ダイの大冒険大好きサラリーマンのヘーボンです!
ダイの大冒険は王道な物語でありながらも読者の意表を突く展開が多く、巧妙な演出が有ったり、伏線が回収されたりする度に、物語が大きく盛り上がっていきます。
しかし何度も読み返している内に、最後まで回収されなかった伏線や、作中ではっきりと明言されていないものの「実はこのやり取りって意味があるのでは?」と思わせるシーンを見つけました。
今回はそんな意味ありげなシーンを考察していきたいと思います。
ダイの大冒険のネタバレを含みますので、気にする方はここで記事を閉じるか、他の記事へどうぞ。
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考察① アバンは戦士を育成しない主義?
アバン先生は初登場時に勇者の家庭教師を名乗り、ダイの指導役を買って出ました。
その際、ダイやブラスに名刺のように見せた巻物に「魔法使い・僧侶も一流に育てあげます」と書いてあるのですが、これを見て一つ疑問が浮かんだ人も居るのではないでしょうか。
そう、「戦士は育成しないのか」という疑問です。
アバンと言えばアバン流刀殺法を編み出すほどの剣の達人です。
確かに魔法も得意ですが、彼の本領はあくまで剣術であると言えるでしょう。
それがなぜか教えられる職業の例に、メジャーな筈の戦士を記載していません。
剣も魔法も教えられると主張するなら、魔法職ばかりを例に挙げるのは不自然ですし、意図的に戦士を候補から外したのではと考えてしまいます。
そしてそれはなぜかと考察したところ、理由はすぐに思い当たりました。
それはアバンが最初に弟子にした”戦士”ヒュンケルの存在です。
アバンは父を失ったヒュンケルを引き取り弟子としましたが、ヒュンケルはアバンを父の仇だと思い込み殺そうとしました。
アバンは咄嗟にヒュンケルを弾き飛ばしますが、ヒュンケルはそのまま川に落ちてしまい、そのまま生死すら分からない状態になってしまいます。
そのことはアバンにとって、深い心の傷となったことでしょう。
つまりアバンが育成できる職業に戦士を記載しなかったのは、かつて戦士ヒュンケルの育成に失敗していたからだったのです。
考察② マトリフの過去はバランの伏線だった?
ダイの父親であるバランは、かつて救ったはずの人間たちから迫害を受けた過去があります。
その結果最愛の人を失うことになり、人間を激しく憎悪するようになりますが、実はこれよりも少し前に似たような話が語られていたシーンがありました。
それは大魔導士マトリフの登場シーンです。
かつて勇者アバンと共に世界を救った後、パプニカ王の相談役になったというマトリフですが、王の側近から嫌がらせを受けて追い出されてしまったといいます。
マトリフはバランのように人間に敵対している訳でもなく、この過去話もサラッと語られたので覚えていない読者も多いかもしれませんが、「昔救ったはずの人間に裏切られて失望した」という、かなり酷似した過去を持っています。
短いスパンでここまで似たエピソードが語られるというのは偶然とは思えません…が、とはいってもバランとマトリフには接点らしきものは一切なく、それぞれ全く別のエピソードです。
しかし直接的な接点はなくとも、マトリフの話がバランの話の伏線だったと考えると辻褄は合うのではないでしょうか。
つまりバランの話がかなり重い話なので、読者に心の準備をさせるためのジャブとして、マトリフの話を出したのです。
マトリフの過去は敢えてサラッと済ませる事で、似た話が続いてもマンネリ感はありませんし、むしろ「平和になれば恩を忘れる」という人間の性質が上手く強調されていると言えます。
原作者の三条先生は、本当にストーリー構成が巧みですね。
考察③ マトリフを追い出したパプニカ王の側近って…?
前の項目で触れましたが、マトリフにはパプニカ王の側近から妬まれ、国から追い出された過去があります。
しかし現代のパプニカでレオナの傍に居る者たちを見てみると、三賢者やバダックなど、とても権力の腐敗があるようには見えません。
それではマトリフに嫌がらせをしていたという側近たちは、一体どこに行ったのでしょう?
もちろん約15年の月日が流れているので側近の顔ぶれが変わっていてもおかしくはありませんし、もしくはパプニカが一度滅んだ時に死んだか逃げ出したのかもしれません。
しかしよくよく考えてみると、ダイの大冒険には「腐敗したパプニカの権力者」が登場していたことに気が付きました。
それはかつてレオナ姫の暗殺を企み、ダイによって倒されたバロンとテムジンです。
彼らは「レオナ姫さえ居なければパプニカの実権が手に入る」と語っていたことから、王に近い立場に居たと推測できますし、若く見えるバロンはともかくテムジンは15年前のパプニカに居てもおかしくありません。
ひょっとして、マトリフを追い出したという側近とは、テムジンのことだったのではないでしょうか。
自分の権力のために他人を排除しようとするやり方はまさに、マトリフを追い出した側近のやり方によく似ていますし、テムジンは昔から似たような悪事を繰り返して権力を手に入れていった…と考えると辻褄が合います。
はっきりとした根拠があるわけではありませんが、バロンとテムジンが捕まった後にレオナの側近が善人ばかりになった事実が、この説を裏付けていると言えるでしょう。
考察④ 3本目のパプニカのナイフはなぜ登場しなかった?
レオナ姫がダイへと贈ったパプニカのナイフですが、実は”太陽” ”海” ”風”の三刀存在する事がバダックから語られています。
その中で”海”のナイフは行方不明とされていましたが、多くの読者が「こんな設定をわざわざ説明するという事は”海”のナイフもどこかで登場するのだろう」と予測したのではないでしょうか。
しかし実際には”海”のナイフについて作中で触れたのはこのシーンのみで、最後まで登場することはありませんでした。
それでは三刀のナイフの説明は何のために有ったのでしょうか?
単純に「原作者の三条先生が伏線を回収し忘れた」と考えることも出来ますが、今回は「”海”のナイフが登場しなかったこと自体に何か意味があるのではないか?」という観点から考察してみました。
存在だけ明かされながら結局登場しなかった”海”のナイフですが、パプニカには他にも”存在するはずなのに登場しなかった存在”があります。
それはまさに”海”のナイフの持ち主である、パプニカ王の事です。
パプニカ王の存在はレオナの初登場回から語られていましたが、パプニカが不死騎団に攻め落とされた時に死亡してしまったらしく、作中で登場することはありませんでした。
パプニカはその後復興したとはいえ、王を含めて亡くなった人たちは当然戻って来ませんし、他にも捕まっていた筈のバロンやテムジンがどうなったのかも語られず仕舞いでした。
もしかしたら三条先生は考えていたのかもしれませんが、本筋に関係ない彼らの顛末まで語るのは蛇足感が出てしまいますし、敢えてそこには触れなかったのでしょう。
存在したはずなのに登場しなかった”海”のナイフは、作中では語り切れなかったパプニカの人たちの存在を象徴しているのかもしれません。
考察⑤ バーンはいつ神の力を超えた?
ダイたち一行が初めてバーンと戦った際、バーンの口からその目的が語られました。
太古の昔に神々によって魔界に押し込められたことを恨んだバーンは、地上を消し去るために数千年間力を蓄えてきたと言います。
その結果、バーンは神をも超える力を手に入れることになりますが、逆に言えば昔は今ほど圧倒的な強さを持っていなかったということです。
ではバーンはいつごろ神の力を超えたのでしょうか。
そもそもバーンがいつから存在していたのかというと、神々に魔界に押し込まれたことを見ていたかのように語ったていたので、その当時からバーンは存在していたと思われます。
しかしその時はバーンの力は神々に及ばず、苦渋を舐めることになりました。
それが数千年前の事です。
またバーンは自分の全盛期の身体を”凍れる時の秘宝”で封じ込め、ミストバーンに守らせていました。
当時のことをバーンは「何千年前の事か忘れてしまった」と言っているので、詳しい時期は不明ですが、肉体的な強さはかなり早い時期にピークに達してしまったのかもしれません。
しかし「肉体的な強さだけではまだ神々に及ばない」と考えたバーンは、肉体を封印し、さらに魔力を高めようと考えます。
そして時は流れ数百年前、バーンは冥竜王ウェルザーと魔界の覇権を争っていました。
ところが地上侵略という共通の目的を前に休戦協定を結ぶことを決めます。
ウェルザーと言えば後にバランに倒されることになる竜です。
そのウェルザーと最強のバーンが対等に協定を結んだというのは違和感がありますが、当時のバーンはまだウェルザーと同程度の強さだったと考えると辻褄が合うでしょう。
しかしバーンはその後さらに力を蓄え、その力はウェルザーも及ばぬ領域に到達していきます。
ウェルザーはハドラーとほぼ同時期(約20年前)に地上侵略に打って出ますが、それは「バーンがいよいよ神々の力を超えた」事をウェルザーが感じ取り、焦ったということかもしれません。
しかしウェルザーの計画は失敗し、逆にバーンはバランやハドラーといった強力な配下を手に入れました。
そして時は満ち、バーンは魔王軍を編成し、ハドラーの復活と共に地上に攻撃を始めたのです。
つまり「バーンはいつごろ神の力を超えたのか」という疑問の答えは、約20年前ウェルザーが地上侵略を始めたころと考えられます。
考察⑥ アバンが最初から仲間入りしていたらどうなった?
デルムリン島でメガンテを唱えて死んだと思われていたアバンは、実は”カールの守り”の効果で生き残っていました。
しかし自分の無力さを痛感していたアバンは「ダイたちの旅に同行しても成長の足を引っ張るだけ」と考えて、あえて名乗り出ることはせず、新たな能力を求めて破邪の洞窟に向かいます。
その話を聞いた時、「そんな事言わずに一緒に来てくれればよかったのに!!」と思った方も多いのではないでしょうか。
アバンが最初から居てくれれば、戦力面でも精神面でもかなり頼りになったでしょうし、アバンもダイたちのように旅の中で成長できたようにも思います。
そこで今回は、もしアバンが最初からダイたちと共に旅をしていたらどこまで通用したのかという点を考察してみました。
…と考え始めてみると、実は序盤に仲間になった強キャラならば既に居たことに気が付きました。
そう、獣王クロコダインのことです。
元々ダイたち以上の実力を持つ強敵として登場したクロコダインですが、戦いの中で人間の素晴らしさに気が付き、味方となります。
クロコダインは人間の年齢で言えば約30歳だそうで、まだ幼いダイたちにとっては戦力的にも精神的にも非常に頼りになる存在でした。
しかしクロコダインが主に活躍したのは序盤~中盤まで、終盤になるとダイたちの成長速度に付いていけないようになり、最後のバーンパレス突入後は活躍らしい活躍もありません。
クロコダインもダイたちと共に多くの戦いを乗り越えてきた筈ですが、なぜ同じように成長できなかったのでしょうか。
それはクロコダインが良くも悪くも”大人”だったからだと考えられます。
初登場時から既に戦士として完成していたからこそ、まさに成長期の真っ最中であるダイたちと同じようには成長出来なかったのです。
そして今クロコダインについて語ったことは全て、アバンにも当てはまります。
アバンもクロコダイン同様、大人の戦士です。
旅に同行していても大きな成長は見込めず、いずれダイたちに大きな差を付けられてしまった事でしょう。
おそらくはクロコダインとほぼ同じ時期に、アバンも戦力外となってしまうと思われます。
だからこそ本編のアバンは、単純に身体能力を上げるだけでは不足と考え、破邪の秘宝という新たな力を求めたのでしょう。
考察⑦ ゴロアが話していた魔界の騎士って?
バーンパレスの魔力炉を管理していたゴロアですが、思いがけずダイを倒すチャンスを掴みます。
ダイに止めを刺す方法を考えていたゴロアは魔界に伝わる”不死身の剣豪”の物語を思い出しますが、この”不死身の剣豪”は一体何者なのでしょうか?
ただのおとぎ話上の存在…と切り捨ててしまうのは簡単ですが、どこに伏線が隠されているのかわからないのがダイの大冒険です。
それに”不死身の剣豪”という言葉からは、ある男を連想してしまいます。
そう、今まで何度も死線を乗り越え、不死身振りを見せつけてくれたヒュンケルの事です。
もちろん21歳の人間であるヒュンケルの話が魔界に伝わっている筈がないのですが、実は無関係とも言い切れません。
というのも、ヒュンケルの名前はそもそも魔界の剣豪から取った名前なのです。
親に捨てられたヒュンケルは地獄の騎士バルトスに拾われ育てられますが、その時にバルトスは「かつて魔界を牛耳ったという伝説の剣豪の名前だ」と言ってヒュンケルと名付けました。
魔界に伝わる物語に登場する剣豪…ゴロアが話した”不死身の剣豪”と、ヒュンケルの名前の由来となった”伝説の剣豪”は同一人物ではないでしょうか。
明確な根拠があるわけではありませんが、不死身というヒュンケルを髣髴とさせるキーワードがある以上、三条先生はそのつもりで書いているとしか思えません。
考察するほど面白くなるダイの大冒険
以上、実は伏線!?意味ありげなシーン7選如何でしたでしょうか。
ダイの大冒険は全てのやり取りに意味があると言っても過言ではないほど伏線が豊富で、考察すればするほど面白くなる作品だと思います。
今回紹介したのはあくまで私の考察であり、中には妄想に近い考察もありますし、当然ながらこれが唯一の正解だと言うつもりはありません。
もしも「自分は違う考察をしたよ」という方がいらっしゃいましたら、コメント欄やTwitterでご意見を聞かせて頂けると嬉しいです。
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コメント
マトリフの性格・性根的に本人の発言をまるっと信じられるかというと疑問符がつきます(ただいじめられて追い出されるのをよしとする性格には思えない)
個人的な考えとしてはおそらく国王の側近がマトリフを疎んでいずれは追い出したいと考えていた、までは本当だと思いますが実際はセクハラと無神経発言等で追放を止めようとする人がいなくなった(それでも相応にやり返したと思う)が近いのではないかと思います。だから三賢者達に醜聞が混じってしまう事実を伝える人がいなかったのではないかと。