こんにちは!
小説家になろう大好きサラリーマンのヘーボンです!
「太っていた女の子が痩せたら美人になる」漫画やラノベで昔から良くあるパターンですよね。
以前はバカにしていた人たちが、美人になったとたん手のひらを反したり、時には同一人物だと気付かずに口説いてきたりと、周囲の対応の変わりようが面白い展開です。
今回紹介するのは、中華系の後宮から追放された主人公が痩せてから後宮に舞い戻ってしまい、同一人物と気付かれずに囲い込まれそうになるというお話です。
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「白豚妃再来伝 後宮も二度目なら」(中村颯希)
白豚妃と呼ばれるほど太っていた主人公。
かつて冤罪により後宮から追放されたはずが、女官狩りに合い再び後宮に連れ去られてしまいます。
追放の際「再び後宮に踏み入れば命はない」と言われた主人公は、自分が白豚妃だと気付かれる前に逃げようとするのですが、元々の人柄の良さに加え美貌とたくましさを身に付けた主人公は後宮の人々にどんどん気に入られてしまい・・・。
周囲は良かれと思って主人公を引き立てるのに、逃げ出したい主人公にとってはただのありがた迷惑・・・そのすれ違いが面白い!!
序盤のネタバレありであらすじ&感想を解説していきますので、全くネタバレしたくないよという人は、下のリンクから飛んでください。
「白豚妃再来伝 後宮も二度目なら」あらすじ(序盤ネタバレ)
後宮。
煌びやかな妃たちの住まう場所であると同時に、水面下では女同士の争いと陰謀が渦巻く場所でもあります。
そんな美しい妃たちの中で、一風変わった中級妃が一人。
その女珠麗(じゅれい)は、皇帝の妃の一人でありながら丸々と太り、女らしい一面と言えば肌の白さくらいということで「白豚妃」と呼ばれ馬鹿にされ、しかしそれゆえに愛されてもいました。
後宮の女とは思えないほど素直で善良な性格、そして嫉妬の対象にはなり得ない外見。
彼女だけは後ろ暗い陰謀とは無縁である。その日までは誰もがそう思っていました。
ある日珠麗は、可愛がっていた後輩の下級妃 桜蘭(ろうらん)がつわりに苦しんでいると聞いて見舞いに行きます。
しかし珠麗が見舞っている間に楼蘭の容体は悪化し、あろうことか珠麗が桜蘭に毒を盛ったと疑われて囚われてしまいました。
「これはきっと悪い夢よ・・・」
突然の事態に真っ青になる珠麗。
しかしあくまでも誤解、きっと仲の良い妃たちや武官が助けに来てくれるはずだと珠麗は信じていました。
ところが何日経っても誰も会いに来てくれずに珠麗が不安に思っていると、人目を忍ぶように楼蘭がやってきます。
結局あの後流産してしまったという楼蘭、さらに彼女が言うには珠麗は皇帝の子を殺したとして処刑されることに決まったというのです。
「なぜか皆、珠麗様が犯人だと決めつけて疑いもしません。ここで無罪を訴えても心証を悪くするだけでしょう。ここはあえて罪を認め、減刑を願い出てください」
そう勧める桜蘭。
ありもしない罪を認めることに抵抗を覚える珠麗ですが、桜蘭に説得されてやむを得ず受け入れることにしました。
その後ようやく始まった尋問で、珠麗は桜蘭に言われたとおりに命乞いをします。
しかしそれを見た武官はなぜか失望したように珠麗を「豚」と呼び、珠麗は胸に罪人の焼印を入れた上で追放されることになってしまったのです。
そして四年の歳月が流れました・・・
珠麗は追放後しばらく花街の妓楼で下働きをしていましたが、その妓楼も火事で焼き出されてしまい、現在は貧民窟で賊徒集団と共に暮らしていました。
最初こそ足手まとい扱いだった珠麗ですが、生きるために必死に駆けずり回る姿に周囲のチンピラたちも次第に絆されていき、次第に仲間の一員として扱われるようになります。
この四年間で多くの事を学んだ珠麗。
後宮時代、自分がいかに馬鹿で世間知らずであったのか、そしておそらく自分は桜蘭に騙されたのだろうという事も理解できるようになりました。
とはいえ珠麗は既に後宮を追放された身、二度と関わることもないだろうと思っていたところ再び事件が起きます。
ある日街に出かけていた珠麗は女官狩りに合い、なんと無理やり後宮に連れ去られてしまったのです。
ここ天華国では皇帝が代替わりする際に後宮の妃たちを次代の皇帝に下げ渡し、新たな妃候補を加えて序列を見直すという風習がありました。
その選抜を「揺籃の義」と呼び、その結果次第では下級女官候補であっても妃になれる可能性があり、逆に上級妃であっても女官に落とされることもあります。
珠麗はその下級女官候補の補充要因として攫われてしまったのでした。
まさかの事態に珠麗は焦ります!
なにせ追放される際には「再び後宮に足を踏み入れたら命はない」と言われていたのです。
不本意な結果とはいえ、後宮に居る事がバレたら処刑されてしまうかもしれません。かといって脱走しようものならそれはそれで処罰の対象。
こうなったら「揺籃の義」でわざと不合格になり、穏便に追い出されようと珠麗は考えます。
顔を布で隠し、身なりをあえて汚す珠麗。他の候補者から「どうして顔を隠しているのですか」と聞かれた際は「宗教上の理由です」と誤魔化しました。
声を掛けてきた候補者 蓉蓉(ようよう)と話ながら待っていると、いよいよ珠麗の名前が呼ばれます。
面接官である太監の質問に対し、わざとトンチンカンな答えを返す珠麗。
「あまり教養はないようだな・・・なにより顔も見せぬとは失礼極まりない」
太監の言葉を聞いて、狙い通り不合格になりそうだと内心ほくそ笑む珠麗ですが、思いがけないところから待ったが入ります。
「お待ちください!彼女が顔を見せないのは一族のしきたりに従うが故です。その厳粛に言い付けを守る姿に免じて、もう一度機会を!」
そう声を挙げたのは、先ほどまで話をしていた蓉蓉でした。
驚いて振り返る珠麗に対し、蓉蓉は「わかっている」と言わんばかりに微笑みを返します。
(そうじゃない!!善意のつもりかもしれないけど、大きなお世話だってのよ!!)
焦る珠麗ですが、太監は蓉蓉の申し出をあっさりと受け入れてしまいます。
「そこまでいうなら、改めて顔を出して挨拶するがよい」
「い・・・いえ、結構です!!私ブサイクで!!見たら目が腐ると思うので!!!」
「逆に気になるぞ・・・ええい後が仕えているのだ、早く見せろ!」
珠麗の抵抗も虚しく、顔を隠していた布を剝ぎ取られてしまいました。
もはやここまでかと観念する珠麗ですが、太監の口からまさかの言葉が呟かれるのでした。
「なんと・・・美しい・・・」
「え・・・?」
そう、実はこの4年間貧しい暮らしを続けてきた珠麗はすっかり痩せ細り、その外見はまさしく絶世の美女と呼ばれるほどになっていたのです。
もはや白豚妃の面影は無く、正体がバレずに済んだ珠麗。
その後も不合格になるためにあの手この手で画策しますが、なぜか却って評価を挙げる結果になってしまい・・・
果たして珠麗は無事に後宮を脱出することができるのでしょうか。
主な登場人物
珠麗(じゅれい)
後輩の下級妃である桜蘭に騙され、後宮を追放された元中級妃。
「白豚妃」と呼ばれるほど太っていましたが、必死に生きてきた四年の間に痩せ細り絶世の美女となりました。
元々人柄の良さだけで中級妃まで上り詰めた珠麗が、過酷な生活の中で美貌とたくましさを身に付けて戻ってきたのですから大変です。
周囲の人を無自覚に篭絡しどんどん慕われていくのですが、周囲から好かれれば好かれるほど束縛され自由がなくなってしまうという、羨むべきか同情すべきかわからない主人公。
桜蘭(ろうらん)
かつて珠麗が可愛がっていた後輩の下級妃で、現在は中級妃。
皇后になる事に異常なまでに執着しており、「揺籃の義」にも参加して珠麗を含む他の候補者を蹴落とそうと、あの手この手で妨害してきます。
権力に固執していますが一応理由はあるようで、後宮という環境のせいで悪人になってしまった人と言えるかもしれません。
郭武官(かく ぶかん)
かつて珠麗に罪人の焼き印を押させて追放した武官。
端正な顔立ちで女性に人気があり、それゆえに女性の媚びた態度に辟易していました。
したがって邪気の無い珠麗のことは元々気に入っていたようですが、その珠麗が尋問の際に(桜蘭に騙されて)媚びた態度を取ってきたことで失望します。
現在も後宮に居て、珠麗に何かと関わってきますが、珠麗が白豚妃であることは気付いていません。
また実は武官というのは仮の姿で・・・
蓉蓉(ようよう)
珠麗と同時に「揺籃の義」を受けることになった候補者。
人を見る目には自信があるようで、珠麗の善良な本質をわずかな会話の中で見抜きます。
自分よりも寧ろ珠麗が妃になる事を望んでいるようで何かと後押ししてきますが、不合格になりたい珠麗にとっては非常にありがた迷惑な存在です。
「白豚妃再来伝 後宮も二度目なら」感想
後宮から逃げ出したい珠麗と、珠麗に後宮に残ってほしい人たちのすれ違いが面白い!
かつて騙されたことで人間不信気味の珠麗ですが、生来の善良な性格は変わっておらず困っている人を見かけるとついつい助け船を出してしまいます。
そのお蔭で他の妃候補や女官からどんどん慕われていくのですが・・・
珠麗が「揺籃の義」で不合格になりそうになると、以前助けた人たちが恩返しとばかりに珠麗を助け、却って誰よりも高評価を得てしまうといった結果になってしまいます。
傍から見る分には美しい助け合いなのですが、不合格になりたい珠麗からすればただのありがた迷惑!それどころか恩を仇で返されたとすら感じる始末。
むしろライバル候補からの妨害行為の方をありがたいと感じるなど、倒錯的な面白さがあります!
話が進むにつれて珠麗を慕う味方(むしろ敵?)が増えて行って、どんどん脱出しにくくなっていくのが笑いどころです。
小説家になろうの作品ですが、書籍版だと珠麗の花街時代の番外編が追加されていて、おすすめです!
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後宮も二度目なら 〜白豚妃再来伝〜 (syosetu.com)
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